2021年度の国内パン市場規模は、前年度比101.0%の1兆5,354億円(メーカー出荷金額ベース)と推計されています(矢野経済研究所調べ)。
今後も、パン業界は人口減少や食生活の変化などの影響を受けながら、新たなニーズに対応した商品やサービスの開発・販売などが進むことで、微増傾向で推移していくと予想されています。
2023年以降は今までと売れる立地が変化するといわれており、コロナ禍で不調だった立地(駅ナカ、繁華街、観光地等)で売上上昇の傾向がみられ、一方で住宅街やロードサイドなどの今までコロナ禍で売上が伸びていた立地の店舗の売上が縮小する傾向にあります。
駅ナカに店を構える店舗は持ち帰りのしやすい小さめのパンや、お土産として喜ばれるよう種類を豊富に揃えたりする工夫が見られます。
高級食パン専門店のようにある一種のパンに特化する「パンの専門店化」が進む一方で、廃業件数は増えており、ここ数年で一気に急増してます。輸入小麦や油脂価格も上昇を続けており、パン業界は厳しい状況にあります。
本コンテンツでは、パン屋経営を成功に導くためのポイント・注意点を項目ごとに説明しています。
パン屋の開業にあたってのメリット・デメリットをご紹介します。
1. こだわりを詰め込んだ思い通りの店を作れる
一番の魅力は、自分のこだわりを詰め込んだ、思い通りの店を作ることができる点です。
メニューだけでなく、内装や外装、パン紹介のポップ、制服など、すべてを理想の形にすることができます。
パンの生地や種類などをこだわりたい方にとっては、パン屋を経営することで自分の好みやこだわりを追及した商品を提供することができます。
2. 小規模でも開業可能
自宅の一部を使って開業したパン屋も増えていることから、小規模スペースでも営業できます。ただし、パン屋は業務用のオーブンや発酵機が必要なため、作業スペースやガス・電気などの設備はしっかり確保しましょう。
もともとパン屋として営業されていた居抜き物件を利用すれば大規模な改装を必要としません。
自分1人でやるのか、従業員をたくさん雇って大きな店にしたいのかも自分で決めることができます。
3.トレンドとパンブーム
2011年に米とパンの世帯消費額が逆転し、2012年以降はパン業界の市場規模は穏やかに上昇し続けています。
また、1世帯あたりのパン年間支出金額は緩やかですが、上昇傾向にあります。
特に近年では、進化系クロワッサン・高級食パン・進化系カレーパンなど、次々とトレンド商品が出てきていることも要因のひとつです。
1.競合相手が多い
コンビニ・スーパーなどでも手軽に買えるパンは競合が多く、特に昨今では各社でもオリジナル商品を幅広く展開しているため、競合やライバルが多いといえる業界です。
2.開業資金が高い
パン屋開業に必要な生地こね機やオーブンなどの機器類は高額なものが多いため、他業種の厨房機器費と比べて1.5~2倍程の機器・設備費用がかかります。
3.下積みや資格が必要
パン屋を開業するには「食品衛生責任者」の資格だけでなく、「パン製造技能士」の国家資格が必要です。扱うメニューによっては「菓子製造業許可」「飲食店営業許可」も必要です。
パン作りに関してのみであれば専門学校に通って技術や知識を修得する方法と、実際に働いて経験を積む方法がありますが、経営となると下積みは必須です。思い立ってすぐに開業することは難しいでしょう。
パン屋は、開業しやすい一方で、開業から1年で6割が廃業すると言われている存続が難しい業態でもあります。
全国にパン屋は約10000店舗ありますが、輸入小麦や油脂価格・人件費や地代も上昇を続けており、パン業界は厳しい状況です。
1. パン屋業態の現状の把握
日本におけるパン屋ブームは現在に至るまで途絶えることなく続いています。トレンドの移り変わりは早まり、形態が変われど「パン屋への関心」は日々高まっていると言えます。
最近では専門店の増加が加速しているため、より「コンセプト力の高い店舗」が求められるといえます。
2. 資金計画
パン屋を開業する初期費用は、条件や規模・営業形態によって変わってきます。
高額な機器類が多いため、小規模の店舗でも1,000万円程はかかると言われています。
パン屋の一日平均客単価は500円~750円ほど、高くても1000円未満と他業種より低くなっていますが、平均客数は200人~300人と多くなっています。
近年ではサブスクリプションやネット通販などの販売経路も多様化しているため、ビジネススタイルに合わせた資金計画を立てる必要があります。
居抜き物件を探したり、厨房機器をリサイクルで揃えるなど、イニシャルコストを抑えられるポイントはどこか、どこまでこだわるかも資金計画に大きく影響します。
3. 人件費高騰・人手不足
製造に手がかかるほか、発酵食品ゆえの手間もあるパン屋。基本的に煩雑で体力が必要な仕事であり、長時間労働になりやすい業態でもあります。飲食業界は人手部不足の状態が長く続いています。求人をしてもなかなか人が集まらず、飲食業界は「人手不足」に悩まされています。
少子高齢化や人材の需要と供給の不一致により深刻化している人手不足ですが、人手不足による労働環境の悪化・離職、採用しても人が定着しない、サービスが低下しお客様離れが起きる、と負のスパイラルに陥ってしまいます。
人件費の高騰・人手不足の課題は今後ますます続いていくでしょう。そのため、より少ない人員で運営できる体制づくりや、省力化を考えた店舗づくりは必須項目です。